JR山陰本線【餘部駅】
兵庫県美方郡香美町香住区余部字ナワテにある、西日本旅客鉄道(JR西日本)山陰本線の駅です。香住と言えば近畿地方では、カニ(香住ガニ)が有名で、松葉ガニや越前ガニと並ぶ有名ブランドです。
地名の余部(あまるべ)で検索すると1930年(昭和5年)に開業した兵庫県姫路市にある姫新線の余部駅(よべえき)が見つかりますが、これとは別の駅で、漢字表記が同じだったため山陰線の余部にある当駅は餘部(あまるべ)駅と表示されるようになりました。
餘部駅といえば1986年12月28日に発生した餘部鉄橋列車転落事故が有名で、その年の年末を迎えようとする直前の12月28日に『お座敷列車』の「みやび号」が鉄橋の中程に差し掛かった際に、風速33m/sの突風に煽られ地上40mの橋梁から転落。 車掌1名と水産加工工場の5名が亡くなった事故です。当時、テレビや新聞でも大きく報道されたのでご存じの方も多いと思います。現在の橋梁はコンクリート橋で2010年8月12日に開通した二代目となります。鉄橋の全長は310.6?m、幅は7.25 m、高さ(地上)は41.5 mです。
現在の駅舎は機能的には「待合室」で2011年4月30日に新設されました。何しろ地上41.5mの高さにある駅舎で、地上から徒歩で10分以上登らないとならない悪条件でしたが、隣接する餘部鉄橋「空の駅」に地上と直結したエレベーターが設置されたので利用者(住民)は元より、観光客も楽にホームへアクセス(昇り降り)できるようになったのがうれしいところです。因みに、このエレベーターは餘部駅を発着する列車に合わせて、朝6時から夜11時まで利用可能となっています。
駅の特徴としては「無人駅であること」、「券売機もないこと」に加え、「旧鉄橋で使用されていた鋼材を切断したベンチがホームに設置されている」ことなどが挙げられます。また、餘部駅の真下には当時の古い鉄橋の一部がそのまま展示されてますし、脇には『道の駅あまるべ』と資料館の『一滴亭』が併設されています。その情報コーナーでは、餘部駅の歴史や餘部鉄橋に関する資料が多数展示され、映像でも判りやすく知ることができます。他にも、この餘部駅を含む【山陰海岸ジオパーク】や近隣の観光情報なども紹介されており、単なる鉄道駅ではなく歴史遺産とも呼べるかもしれません。一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。